佐々木松次郎は静岡県浜松市元城町に生まれ、1922年東京美術学校を卒業しました。1924年静岡県西遠女子学園の教諭となり、以来、1973年に享年75歳で逝去するまで、約50年間に渡り教育堺で活躍するかたわらカトリック美術協会やキリスト美術協会の結成でも力を尽くし、多くの宗教画を描き続けました。
本作は、西遠女子学園で教鞭を執り始めた頃に描かれた作品で、マリアの画家として知られる松次郎には珍しく、静物をモチーフにしています。画面中央には、円形の一輪挿しにそっと活けられた大輪の白牡丹の花が描かれています。それは、油彩独特のタッチで仕上げられたことにより、牡丹特有の柔らかな花びらの質感が上手く表現され、落ち着いた色調と相俟って、気品漂う美しさを醸し出しています。