水野年方『大村少尉』明治29年
平成27年10月31日(土)―12月20日(日)
「明治」という新しい時代は、日本に様々な変化をもたらしました。習慣や制度の変化だけではなく、美術や文学といった、いわゆる芸術の分野にも大きな変革をもたらしました。
江戸時代に隆盛を極めた浮世絵版画は下火となり、富岡永洗や武内桂舟、水野年方などの浮世絵師は、口絵と呼ばれる小説の主人公や一場面を紹介する巻頭の木版画や新聞の挿絵といった新たな分野へ活路を見出すようになっていきます。また、後に日本画家として大成することとなる鏑木清方や梶田半古なども小説の口絵を数多く手掛け、明治時代中期には、その華やかさが小説の売れ行きを大きく左右するほどになっていったのです。
小杉天外の『魔風恋風』や尾崎紅葉の『金色夜叉』は、鏑木清方画口絵を担当したことで明治時代を代表する小説となり、鰭崎英朋が担当した柳川春葉の『生さぬなか』は、大正期に劇化されるほどの人気作となりました。挿絵画家と呼ばれた彼らは、個人的に関係のある小説家の口絵を主に担当することで物語を如実に読者へ伝えたのです。
今回の展覧会では、明治時代から大正時代にかけて発行された近代文学の口絵を取り上げ、挿絵画家と小説家の深い関わりについて追及するとともに、挿絵画家たちが趣向を凝らして制作した口絵の魅力を余すとこなくご紹介いたします。
ぜひこの機会に、当時の人々を魅了した小説を読み解いていただき、人気を博した口絵とあわせて物語の世界に足を踏み入れていただければ幸いです。
月曜日(月曜日が祝日の場合には開館、翌日休館)
一般500円/中高生300円/小学生200円
※土日に限り小中学生は無料
※20名以上の団体客様2割引
※キッズアートプロジェクトしずおか ミュージアムパスポート利用可
※障害者手帳をお持ちの方、および介助者1名まで100円引(その他割引併用不可)
★ 割引券はこちら
◎バス利用→JR東海道線・浜松駅より
JR浜松駅北口を出て、
遠州鉄道バス乗り場(12番乗り場)から
◎車利用→浜松駅よりタクシーで5分
東名浜松IC、または浜松西ICから約30分 二俣街道沿い
株式会社平野興産
公益財団法人平野美術館
〒430-0942 静岡県浜松市中区元浜町166番地
TEL.053-474-0811
●主な展示作品●
富岡永洗 富岡永洗
『武士道 一名・秘密袋』前 明治30年 『幽霊塔 奇中奇談』続 明治34年
■鰭崎英朋 『生さぬなか』合本 大正3年
■鰭崎英朋 『生さぬなか』 大正2年